“青く澄んだイマジネーション”

愛情そそぐ、りゆうはいらない。

横顔 ..『三度目の殺人』

夏休みがあったためかわりとアニメやヒーローもの、まんがの実写が多く、見に行きたいとおもう映画があまりなかったのですが、
三度目の殺人』『散歩する侵略者』は宣伝やタイトルに惹かれており、わずかにより評価が高い『三度目の殺人』を見に行って来ました。


俳優陣や予告映像の虚無感が好みでかなり期待していたのですが…
黒いもやもやが消えないままエンドロールが終わりました。

・十字
・咲江の足
・否認
カナリアを逃した理由
・真犯人
・36歳の娘
・はがき
・咲江の赤
…どこまでも真相を観客まかせにするのだなあ。

最後のさいごに殺人を否認し、信じてもらえなければ逆ギレした三隅の横顔を見たとき、わたしも心のなかで重盛と同じ反応をしていました。
そこで、あたまのなかの相関図がふっと薄れてしまって、考えることを放棄してしまうほど…。


・十字
三隅が裁くことに強い憧れを持っていたから。
カナリアを逃した理由
咲江を父親から逃すことの暗喩。
・真犯人
父親を恨んでいた咲江による犯行だと考えれば特に疑問な点はないが、それなら三隅とガソリンの点は説明できなくなるので、やはり三隅か。

15歳のあたまではこのくらいしかひろげられませんでしたが…
この映画は伏線を拾いきれておらず、冒頭からリズムがわるいとおもっていて、もうすこしスピードのある大きな展開が欲しかったとおもっています。


三度目の殺人』、
わたしは、三度目とは咲江や重盛など、三隅に関わった人間の心が三隅によって殺されてしまった、という意味ではないかと感じました。
十字の電線を十字路で見上げる重盛。
この事件の弁護士を担当し、どんなふうに影響を受けたのだろうか。想像すると胸がいたくなった。
途方に暮れたような表情でぼんやりと立っている姿は、日本で起こる多くの事件の裏でたたかう人のシンボルなのだろうかと何ともいえない気持ちになった。


とにかく横顔が印象的な映画でした。
ガラス越しのふたつの横顔、反射して重なる横顔。。
あと返り血を拭うしぐさ。
重盛の犯した罪とは。


静かな狂気を、もっと知りたい。





(斉藤由貴さんについてはかなりタイムリーでしたね)